米国では、気候変動対策が厳しい党派対立の舞台になっている。民主党のバイデン政権は8月に大規模な気候変動対策を盛り込んだ「インフレ抑制法」を成立させたが、賛成した共和党の議員は上下両院で一人もいなかった。前のめりで対応を進める民主党と、これを批判する共和党との対立は熾烈だ。
投票行動を比較すると、気候変動対策をめぐる2大政党の対立は、かつてより厳しくなっている。2000年代に米議会で排出量取引制度などの温暖化対策が審議された際には、少数ではあるが共和党からも賛成票が投じられていた。
ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授は、価値観の対立への変質を指摘する。共和党は気候変動対策を、性や人種の多様性などと同じ文脈で、民主党が「過激な」価値観を強制する取り組みとして捉え、攻撃し始めているからだ。
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