今さら聞けない「メタ認知」、学びに向かう力を育む授業4つのコツとは? 忙しい教員の「効率的な学び」の実現にも役立つ

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3つ目は、学習特性を自覚させること。「自分は計算が速いけどケアレスミスも多い」など自分の特性を知ることで、長所を生かし短所を補った学びにつなげられます。

4つ目は、学習方略のレパートリーを広げてあげること。認知心理学を学ぶと、自分なりに意味づけして覚える「精緻化方略」などさまざまな方略を知ることができますので、ご興味があればぜひ勉強してみてください。

5つ目は、小学校低学年以下だと難しいかもしれませんが、前述のメタ認知的モニタリングを促すこと。先生の説明がよくわからないときにモヤモヤしたり、何かが腑に落ちて頭の中の霧がスーッと晴れたりといった感覚を自分で捉えられるようになると、自分の理解に対するメタ認知がうまく働くようになります。

6つ目は、学習の方法や時間、環境を改善するよう促すこと。「机の上に勉強とは関係のないものがあると、気になっちゃうから片付けたほうがいいよね」「すぐ勉強に飽きちゃう人は、何分かごとに休憩すると勉強がはかどるか試してみて」などと声かけをし、実際に体感させてみることが大事です。

──非認知側面の3つの要点は?

自分で自分をコントロールできるのだと知ることが大切です。そのためにまず1つ目は、感情や意欲が認知の産物であることを理解させること。やる気が出ない、不安、怒りなどの学びを妨げるネガティブな感情がどこから湧いてくるのかを理解させ、可能であればネガティブな感情のもととなっている出来事に対する捉え方、解釈を変えてみるよう導いてあげたいです。

2つ目は、自分の感情や意欲の傾向を理解させること。自分はほかの人より怒りっぽいとか、へこみやすいといったことに気づかせます。

この感情や意欲の傾向がわかったうえで、それをコントロールする方略を考えさせることが3つ目のポイント。怒りっぽい人なら一呼吸置く、ご褒美で頑張れる人は勉強が終わったら好きなお菓子を食べるなどの方略が考えられます。

「メタ認知」を働かせれば、忙しい先生も効率的な学びが可能に

──学校の先生も自ら学ぶことを強く求められている時代です。忙しい中で、メタ認知を活用して効率的に学習する方法はありますか。

まず、人間の記憶は眠ることで定着するので、睡眠時間を削って学ぶことはお勧めしません。そのため時間管理のポイントは、寝る直前を学習時間に充てること。学んだ後にテレビやスマホを見ると、後から入ってきた情報が優先的に定着されてしまうので、集中的に学び速やかに眠りましょう。

また、暗記ものは隙間時間を活用して覚えること。5分、10分といった細切れの時間に適した教材(単語帳や専門用語集など)を用意し、いつでも取り出せるようにしておくのがお勧めです。

環境管理のポイントは、学びを生活の中に埋め込むこと。テレビCMを繰り返し見ていると覚えてしまいますよね。この原理を応用し、覚えたいものを書いた紙を目につきやすい場所に貼り付けるなどしましょう。負担感のない学習法だと思います。

もう1つは、ノイズを排除して集中できる環境を整えること。机の上の散らかり、雑音、不快な温度・湿度といった環境は、学びの妨げになります。お子さんがいると難しいかもしれませんが、騒がしい時間帯は資料の整理などの単純作業をする、自分の学習スペースだけでもスッキリさせるなど、可能な範囲でも環境を整えると短い時間で効率よく学べます。

(文:田中弘美、注記のない写真:Fast&Slow/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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