戸田市・美女木小「対話を軸」に組織改革、全員が自分事となる校内研修に転換 研究授業中心の研修を見直して起きたこと

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研修に参加していた山田氏も「定期的に続けていくことで、どんな子どもに育てていくかを学校だけでなく地域と共有できると実感できました。また教員以外の考えを聞くことで、多様な世の中の変化に学校が追いつけていないことを実感。教員の視野も広がるし、教員以外の方からも学校への思いや考えを深く知ることができてよかったという声をいただきました」と話す。

教員がワクワクして学ぶ姿を子どもたちに

これまでも「NPO法人 学校の話をしよう」は、「『対話』から未来をともに創りだす」をテーマに、いくつもの校内研修に関わってきたという。組織に対話の文化を浸透させるのに、いったいどのようなサポートを行っているのか。

「私たちの目的は学校側にプログラムを提供するだけではありません。学校側が主体となり、自分たちで学校をつくってもらえるようになってもらうことです。どのような観点、意図を持って一つひとつの工程を行っているかを理解してもらえればと考えています」(NPO法人学校の話をしよう 代表理事・秋元有紀氏)

つまり自走する組織をつくるということだろう。美女木小学校の場合は、まずワークショップや職員会議の時間などを使って対話をし、それぞれの価値観や考え方を知ることに時間をかけた。

そこから学年チームごとに分かれ、興味のあるテーマを話し合い、研究テーマを決定。取り組むテーマが決まってからはチームごとで研究を進め、「チャレンジシェアタイム」という時間に進捗や成果、課題について共有しているという。研究テーマを掛け持ちしている教員もいるほどで、学校内で優れた取り組みを共有することでモチベーションも上がっている。

教員の反応はどうなのか。校内研修は学校側が決めたテーマで研究授業を行うため、どうしても“やらされている感”が出てしまう。しかし現在はすべての教員が、子どもたちに提供したい教材を研究テーマにしている。受け身でいられず作業量が増えた部分もあるが、関心のあることがテーマになっているため、アクティブに楽しく学んでいる教員がほとんどだ。

実際、これまでに「自由進度学習」「PBL(Project Based Learning)」「GBL(Game Based Learning)」「哲学対話」「SEL(Social and Emotional Learning)」「Adventure In The Classroom」などをテーマに外部の講師や団体と連携して研修を行っている。

「対話が増えたことで、教員たちの笑顔や楽しそうに過ごす姿が増えたと感じています。保護者については、教員を今までは堅苦しくとっつきにくい存在と思い込んでいた方々が、今回のワークショップを通して、とても親しみやすく、学校でイキイキと楽しんで教育に取り組んでいることに気付いていただけたようです。相手の考えがわかり対話がしやすくなれば、保護者や地域の方と連携した教育環境もつくりやすくなります。またワクワクしながら学ぶ教員の姿が、子どもにも伝染すればいいなと思いますね」(山田氏)

(文:酒井明子、撮影:風間仁一郎)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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