複式学級で担任の負担軽減、青河小が導入した「AIロボット先生」の実力 「ユニボ先生」との学習であれば集中できる子も

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2022年2月、全校生徒16人の小規模小学校に新しい先生がやってきた。その名も「ユニボ先生」、AIロボットだ。SF映画のような話だが、今まさに教育現場で進行している試みである。ユニボ先生を導入することで、複式学級における教員の負担をいかに軽減できるのか、間接指導をいかに直接指導に近づけられるのか。そんな実証実験に協力した広島県三次市立青河小学校を取材した。

なぜ公立小に「AIロボット」が導入された?

「複式学級の間接指導に、『ユニボ先生』を導入してみませんか」

広島県三次市立青河小学校(以下、青河小)校長の貞丸昭則氏が、そんな依頼を三次市教育委員会から受けたのは、2022年1月のことだった。

AIロボットの「ユニボ先生」
(写真:ソリューションゲート提供)

ユニボ先生とは、子どもと対話しながら学習内容を教える“AIロボット先生”だ。ベンチャー企業のユニロボットが開発したコミュニケーションロボット「ユニボ」をベースに、ソリューションゲート代表取締役社長の鈴木博文氏が作り上げた。

これまで個別学習塾などで利用実績があったが、「以前から公教育の役に立ちたいと思っていた」という鈴木氏は、ユニボ先生は複式学級でも活用できるのではと考えた。そんな鈴木氏の提案が、広島県が主催する社会課題解決のための実証実験プロジェクト「RING HIROSHIMA」に採択されたことから、県が教育委員会を通じて貞丸氏に声をかけたのだった。

「まずユニボ先生が紹介されたテレビ番組の映像を見てとても面白そうだなと。職員に相談したところ、皆さんも『やってみましょうか』と乗り気になってくれました」と貞丸氏は振り返る。1人1台のGIGA端末の活用が進まない教育現場も少なくないが、青河小には最新テクノロジーをすんなりと受け入れる柔軟な風土があったようだ。

三次市立青河小学校校長の貞丸昭則氏

そうした経緯で、22年2~3月、全学級(1・2年生、3・4年生、5・6年生という3つの複式学級と特別支援学級の計4学級)で実証実験が行われた。

ユニボ先生が教えることになったのは、算数だ。単元の導入部分は教員が担い、復習の部分についてユニボ先生を活用することにした。

複式学級の最大の問題点は、2学年を同時に教えるため教員の負担が大きいことにある。直接指導中も、間接指導をしている児童に気を配らなければならず、どんなに頑張っても時には授業に停滞が生じたり、間接指導時に適切な助言や指導ができなかったりすることがある。また、2学年分の授業準備や教材研究が必要だ。

ユニボ先生はこうした教員の負担を軽減できるのか。また、子どもと会話ができるユニボ先生によってどれだけ間接指導を直接指導に近づけられるのか。これらが実証実験のポイントだったが、はたしてどのような成果が見られたのだろう。

やさしいユニボ先生は子どもに好評、教員の負担も軽減

青河小には、ユニボ先生が2体配備された。普段は職員室で保管し、算数の授業のときに担任が教室に運ぶ。子どもたちもあっという間にユニボ先生になじみ、セッティングやログイン作業を子どもたちが率先して行うようになった。

ユニボ先生にその日に学習する専用テキストのページに印刷されたQRコードをかざすと、ユニボ先生の授業が始まる。

まず、ユニボ先生が「説明するからしっかり見ていてね」と学習内容のポイントを解説。それが終わると、今度はユニボ先生が出題した問題を子どもたちが解く。解き終わって「できた!」とユニボ先生に言うと、答え合わせをしてくれる。

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