外交ではG7首脳会議などでリーダーシップを発揮。内政では金融緩和に強いこだわりを見せた。長期に及んだ政権の一部始終を振り返る。
第1次内閣を含む首相としての通算在職日数は、歴代最長の3188日。大叔父の佐藤栄作氏を超え、日本の政治史に記録を残した故・安倍晋三氏は大きな存在感を放った。
国際的な反響の大きさが象徴するように、外交面での評価は高かった。2015年、米上下両院合同会議で日本の首相として初めて演説を行い、日米同盟の重要性を強調した。2016年には、大統領選挙で当選したトランプ氏と就任前に異例の会談をセットし、ゴルフクラブを贈るという演出も行った。
2018年には日本の首相として7年ぶりに中国を公式訪問し、習近平国家主席と会談。ロシアやインドなど諸外国との外交でも実績を残した。2018年に行われた主要7カ国(G7)首脳会議での関税をめぐる議論をはじめ、各国の国益がぶつかり合う舞台でリーダーシップを発揮した。
なし崩しの「2%目標」
一方で経済政策では、アベノミクスで日本銀行の金融緩和に強いこだわりを見せた。
自らの考えに近い、財務省出身の黒田東彦氏を日銀総裁に任命し、2013年には政府と日銀が物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする共同声明を発表。その後、日銀は「異次元の金融緩和」と呼ばれる量的・質的金融緩和策を実施。2016年にはマイナス金利や長短金利操作付きの金融緩和(イールドカーブ・コントロール=YCC)を導入した。
実際に景気は改善し、2017年には有効求人倍率が1.48倍とバブル期を超え、過去最高を記録した。
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