アベノミクスの功罪と岸田政権が解決すべき宿題 大和総研の熊谷亮丸副理事長に聞く

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7年8カ月に及んだ第2次安倍政権の政策の要となった「アベノミクス」。その評価と岸田政権が取り組むべき課題について、大和総研副理事長で内閣官房参与(経済・金融担当)の熊谷氏に聞いた。

政権奪還を実現する直前、アベノミクスを柱とした衆院選公約を発表する安倍晋三氏(2012年11月12日)(撮影:尾形文繁)

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――安倍晋三氏が首相に就任したと同時に2012年から始まった「アベノミクス」について、どのような評価をしていますか?

全体としては日本経済をデフレの瀬戸際から救い、戦後で2番目の長期にわたる景気拡大を実現したという点で評価ができる。

「3本の矢」も国際的に見れば標準的な政策体系であると思う。大胆な金融緩和を宣言して円安に誘導して、企業収益を過去最高に持っていき、株価が上昇した。完全雇用も実現したことなどを考えると、かなり成果があったと言っていいだろう。

日本銀行の黒田東彦総裁の下で2013年4月に導入された「量的・質的金融緩和」が注目されることが多いが、金融政策以外でも経済活性化に向けた施策を数多く行った。

2018年12月のTPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)発効を実現し自由貿易を推進した。「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」のとりまとめなどにより、インバウンド需要が急増した。訪日外国人の数は2012年の836万人から2019年は3188万人まで増えた。法人減税やコーポレートガバナンス改革等に加えて、家計に向けても幼児教育・保育や高等教育の無償化を行い、効果があった。「デフレではない状況」を作った。

金融政策に偏りすぎた弊害

――逆に積み残された課題はなんでしょうか。

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