西九州新幹線の形式で占う、N700S「次の導入先」 山陽・九州を直通する列車に採用されるか

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2005年に登場したN700系は700系と重複しない形式番号が選ばれたが、この頃にはJR東海・JR西日本から2階建て車両が事実上消滅していたため(保留車は存在した)、60番代・70番代と今まで空いていた80番代が活用された。その結果以下の形式となった。

グリーン・普通合造車:766形
グリーン車:775形・776形・777形
普通車:781形・782形・783形・784形・785形・786形・787形

 

N700系は700系のコンセプトを受け継いだモデルチェンジ版という位置づけだが、その進化の度合いは非常に大きい。さらに正常進化版のN700Aが登場している(写真:松沼 猛)
N700系の形式は700系との重複を避けたため、2階建て車の番号だった60・70番代と空いていた80番代を使っている(写真:松沼 猛)

東海道・山陽新幹線用のN700Sの16両編成でもJR東海、JR西日本では消滅していた30番代・40番代を活用して以下の形式となった。

グリーン車:735形・736形・737形
普通車:743形・744形・745形・746形・747形

 

N700SはN700Aをブラッシュアップした車両。外観は似ているが先頭部の形状は更に洗練された。またシステム面では大幅に進化している(写真:松沼 猛)
東海道・山陽新幹線用N700Sの形式は食堂車・ビュフェ車用だった30番代と2階建て車両だった40番代を使用している(写真:松沼 猛)

ところが西九州新幹線のN700Sはこのルールを踏襲しておらず、以下の形式となった。

普通車:721形・722形・725形・726形

その結果、中間電動車の形式番号は700系と重複している。ただし西九州新幹線の区分番代は8000番代で、700系の0番代・3000番代・7000番代・9000番代とは重複しない。そもそもJR九州には700系が存在せず、しかも西九州新幹線は当面博多に乗り入れないので、JR西日本の700系と遭遇することもないから問題はない。

西九州新幹線用の形式はJR東海・JR西日本の700系と同じとなった。ただし8000番代はJR九州独自の区分番代なので車号は重複していない(写真:松沼 猛)

山陽・九州新幹線用N700Sの可能性?

とはいえ、西九州新幹線用N700Sの形式番号を741形・742形・745形・746形としなかったのはやっぱり気になる。

ここから想像できるのは、山陽・九州新幹線用N700Sの8両編成が登場する可能性だ。現在運用しているN700系8両編成の車齢は10〜14年とまだ若いが、JR西日本の500系・700系、JR九州の800系初期車を間接的に置き換えるためにN700S8両編成を導入して、玉突きで置き換える可能性は予想できる。

山陽・九州新幹線で活躍しているN700系7000番代(JR西日本車)・8000番代(JR九州車)の後継車としてN700Sの8両編成が登場する可能性は高いと思われる(写真:松沼 猛)

その場合、普通車の形式は741形・742形・745形・746形となるのではないだろうか。それならば、JR九州車が従来通り8000番代となったとしても、西九州新幹線用とは形式が重複しないということになる。

そこで気になるのがN700系の766形に相当するグリーン・普通合造車。今のところ十の位で開いているのは50番代だけなので756形となるのだろうか? 

これはあくまでも予想なので、実際にどうなるかはわからないが、いずれにしても今後のN700Sシリーズのバリエーション展開に期待したい。

松沼 猛 『鉄おも!』編集長

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まつぬま たける / Takeru Matsunuma

大阪府出身。明治大学文学部卒。株式会社三栄書房に20年間在籍し、編集者として世界各地を飛び回った。2008年12月から『鉄道のテクノロジー』編集長を務めた後、2013年5月に独立。現在は『鉄おも!』編集長のほか、『鉄道ジャーナル』『ニューモデルマガジンX』『カーグッズマガジン』、鉄道、自動車関連ムックなどに執筆。

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