eスポーツも導入、独自改革した新巽中が実感「非認知能力と学力の関係」 ゲームは悪か?生徒が問うプロジェクト型学習
さまざまな教育改革を行っているのでどれが効いているのかはわからないというが、eスポーツを通じたプロジェクト型学習も非認知能力の育成に貢献しているのは間違いなさそうだ。
とはいえ、そんな新巽中でも、ゲームの問題がまったくないわけではない。21年度には生徒2人が、GIGA端末でできるシンプルなゲームにはまってしまった。休み時間はもとより、授業中でもプリントをやり終えた後など、隙さえあればすぐゲームを始めてしまう。テクノロジーは奪うものではなく人生を豊かにするものだという考え方を基盤にしている中、どう対応したのか。山本氏はこう話す。
「ゲームが依存しやすいものだという点は理解していないといけませんし、そこは保護者とも共有しています。そのため、端末を取り上げることはせず、粘り強く関わって行動変容につなげました。『今の行動をどう思う?』『やりたいことと、やらなければいけないことを整理しようか』と丁寧なリフレクションに努め、私の言葉が届かないときはその子と相性のいい先生に接触してもらいました。これは全教員が全生徒を見守るという学校の方針と仕組みがあるからこそできる関わりかもしれませんね。最終的には2人とも自己決定により、ゲーム依存から脱することができました」
フィルタリングやアプリの制限などがあるGIGA端末でどこまでできるかは課題だが、22年度は1年生の活動において、さまざまな計画を立てているという。「マインクラフト」を使用したオランダの学校との交流や、新池中を含め最近eスポーツの取り組みに前向きな大阪府の大東市・東大阪市・豊中市の中学校をつなぐ活動、「生野コリアンタウンまつり2022」でのeスポーツ大会開催など、構想は盛りだくさんだ。新巽中の生徒たちがどんな成長を遂げていくのか、今後も目が離せない。
(文:田中弘美、写真:山本昌平氏提供)
東洋経済education × ICT編集部
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