日露戦争諷刺画大全 上・下 飯倉章著

日露戦争諷刺画大全 上・下 飯倉章著

収録された諷刺画658点にまず圧倒される。その多くは日露戦争時に英米独仏などのメディアに掲載されたものだが、神話や史実のパロディあり、誇張あり、動物その他の例えあり、辛辣、皮肉、滑稽、悲哀を表出して、時にステレオタイプであっても、大概は独創的で日露戦争の本質に迫ったものが少なくない。膨大な原資料から作品を選び出し、分類し、内容を読み解く作業の果てに本書の狙いはほぼ達成された。画ごとの解説は、画中の微小な文字まで翻訳され、登場人物の紹介も丁寧だ。

旅順攻防戦、奉天会戦、日本海海戦など戦いのすべてが網羅されているうえ、ロシアの内情、ポーツマス講和会議、列強の利害と思惑、黄禍論、戦費調達そして戦後まで扱い、日露対決の全体像が浮かび上がる。列強、第三者から見た日露戦争とその日本観を知ることを通じて戦争の真実に初めて迫りうる面も少なくない。読み応え十分の労作である。(純)

芙蓉書房出版 各2940円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 就職四季報プラスワン
  • 若者のための経済学
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
100億円の寄付を即決<br>ユニクロ柳井会長の危機感

ともにノーベル賞を受賞した京都大学の本庶教授、山中教授に、ユニクロの柳井会長が過去最大規模となる総額100億円を寄付すると発表。研究支援を決めた背景には、サステナビリティ、社会課題の解決などに対する柳井氏の強いメッセージがありました。