大学入学共通テストの概要とは?新たにできる受験科目もチェック
②英語の配点が変更
リーディングとリスニングの配点変更が大きな話題となりました。
センター試験では筆記が200点、リスニングが50点でした。
しかし大学入学共通テストではリスニングの配点が倍になり、100点となったのです。そのため、より英語を聴く力が要求されるようになりました。
またリーディングも文法問題や発音問題が消え、すべて読解問題に変更され、総語数も大きく増えました。そのため限られた時間で多くの英文を読解する力が要求されます。
筆者も高校で英語を教えていますが、最後まで解答できない生徒が以前よりも多くなっている印象です。文法の知識ももちろんですが、まとまりのある文章を速く正確に読む力が必要になるので対策が必要です。
③英語のリスニングで読む回数が変更
センター試験のリスニングテストはすべての問題が2回読みだけでしたが、大学入学共通テストでは序盤が2回読み、中盤から後半にかけては1回読みになりました。
また発音もアメリカ英語発音だけでなく、イギリス英語発音や日本などネイティブではない発音も使われるようになりました。
そのため単純な英語を聴く力に加えて、多様な人が話す英語に慣れる必要があります。
リスニングは一朝一夕で身に付くものではないので、時間をかけて対策していかなければなりません。
大学入学共通テストができた背景、歴史
大学入学共通テストは1978年度に始まった共通第1次学力試験(通称、共通一次)から、1989年度の大学入試センター試験を経て、2020年度から導入されたテストです。
共通の問題を使って受験生の基礎学力を測定する目的で始まった共通1学力次試験でしたが、大学の序列化と受験地獄を悪化させるとして、大学入試センター試験に変更されました。
しかし選択形式のテストの限界や、知識偏重型からの脱却を目的として、大学入学共通テストの導入が進められました。
時代が急速に変化する社会では、知識があるだけでなく、その知識を使うための思考力や問題解決力が必要になります。しかし以前のセンター試験は選択式の問題だったため、思考力や問題解決を測定するためには適さないとの問題点が挙げられるようになったのです。そこで文部科学省は、より高大接続を意識した、思考力や問題解決力を重視した試験内容のテストを導入すると発表しました。
当初は、記述試験の導入、英語外部試験の導入など大きな変更を目指しましたが、現場の強い反発があり現行の試験となりました。反発の大きな理由として記述試験の公平性、英語外部試験の導入による格差などです。
記述式問題の採点にはどうしても主観が入ってしまうため、1点で合否が決まる大学入試の特性上、公平性の確保が問題になりました。また公平性を担保するためには採点者の訓練が必要です。しかし数十万人の解答を数週間で採点できるほど、訓練された採点者の人数を確保することは極めて難しいのが現状でした。そういった懸念があり現場では大きな反発があったのです。
英語外部試験導入に関しても強い反発がありました。なぜなら民間試験を導入することで、生徒の経済・地域格差が生じてしまうからでした。
例えば、離島に住む生徒の場合、受験地に移動して外部試験を受けなければいけないため、1回の受験費用は都市部の生徒よりも高額になります。また民間試験を何度も受験するためには、その分受験料が高額になります。すると家庭の収入によって受験機会が左右される可能性があり格差を生んでしまいます。
そういった理由から民間試験導入は公平性に欠けるとの反発も起こりました。


















