9年連続人口増、明石市の泉房穂市長「子ども予算3倍必要」と考える理由 「教育権限の移譲」でいじめや不登校も減らせる

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また、これまでも2つの小学校内の適応教室で不登校の子どもを支援してきましたが、22年度4月からは学校外の適応教室「朝霧もくせい教室」もオープン。子どもから大人まで利用できる「明石市ひきこもり相談センター」も開設しました。これは中核市としては全国初です。さらにセンター以外に3カ所、まったりできる居場所もつくりました。

子ども関連手当の所得制限はナンセンス

――2023年4月にこども家庭庁が創設される予定です。期待することや求めることはありますか。

私も子どもを担当する中央省庁があるべきだと考えており、この動きには私も当初関わっていたので期待していました。しかし現状は文部科学省が組み込まれず、こども基本法案の骨子に子どもの人権を守る第三者機関「子どもコミッショナー」の設置が盛り込まれないなど、子どもが主人公であるという発想に基づいたものになっておらず残念に思っています。これでは子どもファーストの政策は望めません。

政府はこども家庭庁を中心に、子ども関連予算を倍増したいとの考えを示していますが、それは最低ライン。本来なら3倍くらいは増やさないと。お金がなかったら、どんなにいい政策を思いついても実現しません。

また、政府は待機児童対策の財源を、一部の高収入世帯の児童手当の削減によって捻出することにしました。しかし、子どもにかかるコストは社会全体で負担するのがグローバルスタンダードであって、所得制限はナンセンス。こうした現状から、予算については心配しています。

――教育現場に立つ先生方へメッセージをお願いします。

きっと子どもの頃から勉強ができて大学の教職課程を経て先生になった人や、学校生活が楽しかったから教師を選んだ人も多いのではないでしょうか。

ただ、その先生同士の属性の近さにより、人生の多様性への想像力が足りていない面もあるのではないかと思うんです。子どもの生育過程はさまざまで学校が大嫌いという子もいます。医者や弁護士も同様ですが、学校の先生には今、自分とは違う立場の人に対してどこまで想像力の翼を広げられるかが問われていると思います。

教育実習まで行ったにもかかわらず先生とけんかして1単位だけ落とし、教員免許を取得できなかった私が言っても説得力がないかもしれませんが、多様な子どもの立場や状況を理解してほしいと願っています。

泉 房穂(いずみ・ふさほ)
明石市市長
1963年兵庫県生まれ。東京大学教育学部卒業後、NHK入局。衆議院議員秘書を経て弁護士となる。2003年衆議院議員となり、犯罪被害者基本法などの制定に携わる。11年より現職。社会福祉士、柔道三段、手話検定2級

(文:田中弘美、写真:明石市提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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