コロナ後遺症、頑張ってしまう30・40代が危険な訳 強い倦怠感など症状が出たらどうすればいいか

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データはヒラハタクリニック提供。2022年1月1日から4月12日までの新型コロナ後遺症の患者305人の割合

「PEMがあるときは身体にかかる負荷を減らし倦怠感を出さないようにすることが必須です。コロナ罹患後の2カ月は安静にしている必要があると見ています。しかし、当院に来られる患者では、30代、40代といった働き盛りの人が多く、少し身体がだるくても、『休んで遅れた分を取り戻そう』とか『周りに怠けていると思われたくない』と考えて、頑張ってしまう。

その結果、寝たきりや、準寝たきりにまで悪化してしまう人が多くなっている。一気に寝たきりにまで悪化するのが特徴の1つです」(平畑院長)

長期化すると、さらに深刻な状況に

PEMの症状を繰り返す患者は、ME/CFSという病気につながる可能性がある。ME/CFSは筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群と呼ばれる病気だ。激しい全身倦怠感に襲われ、仕事や学校に行けなくなる。

思考力や集中力が低下し、ブレインフォグ(脳にかかる霧)と呼ばれる症状が出る。下痢や立ちくらみなど自律神経系の症状もあり、多岐にわたる。このような症状が6カ月以上続くとME/CFSと診断される。

国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部の山村隆部長は、ME/CFSについてこう説明する。

「現代に残されたいまだに解明されていない難病の1つです。かつては検査をしても原因がわからず、医師に『様子を見ましょう』と対応されたり、詐病じゃないかと疑われたり、精神的なものとして精神科を紹介されたりと、間違った対応が繰り返されてきた。

コロナの感染が始まってからは感染がきっかけとなってME/CFSとなったと見られる患者が多数出てきている状況です。この病気は免疫反応によって起きている可能性があり、お年寄りよりも30代、40代といった若い世代で発症しやすい病気と見られています」

世界ではすでに対応が進んでいる。世界保健機関(WHO)ヨーロッパ地域事務局では『リハビリテーションの支援 新型コロナ関連の病気後の自己管理』と題して、病後の適切な対応をまとめたリーフレットを2021年8月に公開している。PEMについても詳しく説明されており、「PEMの原因となる運動や活動を避け、体力温存を目指す必要がある」と書かれている。

WHOヨーロッパ地域事務局『リハビリテーションの支援 新型コロナ関連の病気後の自己管理』より。PEMへの対応について、詳しく解説されている
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