吉野家「女性蔑視発言」で危ぶまれる再成長への道 女性集客の立役者の失脚は成長戦略にも影響
「生娘をシャブ漬け戦略」と発言した吉野家HDの元執行役員。女性客の取り込みを成功させた立役者の解任によって、今後の成長戦略にも影響が及びそうだ。
「生娘をシャブ漬け戦略」――。牛丼チェーン「吉野家」を運営する吉野家ホールディングス(HD)で執行役員を務めていた伊東正明氏の発言が波紋を広げている。伊東氏をめぐる問題は、同社が今月発表したばかりの中期経営計画の目玉戦略に影を落としている。
ことの発端は4月16日、早稲田大学で社会人向けにマーケティング戦略の講座が行われた際の一幕だ。この講座に登壇したのが、吉野家HDの事業会社の常務でマーケティングを統括する伊東氏だった。
伊東氏は講座内で若い女性客向けのマーケティング戦略を、「生娘をシャブ漬け戦略」と説明。受講生のSNS(会員制交流サイト)への投稿によると、「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を生娘な内に牛丼中毒にする」とも発言したという。
伊東氏の発言を重く見た吉野家側は、不適切発言を認めたうえで、19日にはHD・事業会社ともに同氏の解任を発表した。同日には、吉野家HDの河村泰貴社長が3カ月間役員報酬の減額措置を講じることを明らかにした。
「吉野家をみるみる変えた」重要人物
今回の問題は、単なるブランド毀損だけでなく吉野家が近年進めてきた「新規顧客強化」の戦略にも影響を及ぼしかねない。牛丼チェーンは男性や少人数客が主要顧客となっており、女性や家族客への訴求が積年の課題だった。吉野家HDも課題解決に向け邁進していた。その戦略のキーマンの1人が2018年1月に外部から招聘された伊東氏だった。
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