「ニッケル暴騰事件」を招いた中国超大物の正体 中国・ロシアが市場攪乱、EVシフトに大激震

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ニッケル相場を急騰させた前代未聞の事件。背後にいたのは、ある中国企業だった。

世界最大のニッケル鉱石埋蔵量を持つインドネシア。中国企業が開発に進出している。写真はイメージ(写真:ロイター/アフロ)
ウクライナ危機で高騰したのは原油や天然ガス価格だけではない。今年3月、バッテリー原材料として電気自動車(EV)普及のカギを握るニッケルの価格がわずか2日間で3倍超に暴騰、ロンドン金属取引所(LME)が全取引を取り消す前代未聞の事件が起きた。
その背後にいたのは、ニッケル生産で世界シェアの2割超を握る中国企業。そしてロシア・ウクライナ戦争を機に、「市場の致命的な欠陥」を突こうとした投機筋の思惑だった。中国の調査報道メディア「財新」が、その全内幕を明かす。

異変が起きたのは3月7日21時(北京時間、以下同)だった。

LMEのニッケル先物の取引価格が突然急騰し始め、4時間後の取引終了時には73%の上げ幅に達し、取引最高値は1トン当たり5万5000ドルを記録した。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻が起こる前は、2万5000ドル以下の水準だった。

浙江省温州市に本社を置く世界最大のステンレス鋼会社である青山控股集団(青山グループ)は、大口の「ショートポジション」(価格下落を見越して先に売り、値下がったところで買い戻す売り持ちポジションのこと、いわゆる「空売り」)を取っているとしてにわかに注目を集めた。

ニッケル価格の急騰で、ショートポジションを持つ青山グループはひどく追い込まれ、巨額の損失に直面しているという噂が市場に広まった。

わずか2日間で狂気の急騰劇

眠れぬ一夜を過ごした売り持ち勢は、翌日のアジア取引(=LME夜間取引)の時間帯にかつてない「数字ゲーム」を目にした。13~14時のわずか1時間で、LMEのニッケル先物主要契約(以下、LMEニッケル)は、1トン当たり6万、7万、8万、9万、10万ドルの大台を立て続けに突破。たった2日間で、LMEニッケルは3.5倍に暴騰したのだ。

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