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東証新市場「スタンダード」の脱落予備軍131社 独自試算で上場廃止懸念のある企業をあぶり出す

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スタンダード市場で上場基準を下回り続ければ、行き着く先は「上場廃止」しかない。

新市場ではプライム企業に焦点が当たりがちだが、より大きなリスクを抱えているのはスタンダード企業のほうだ(撮影:今井康一)

特集「東証プライム銘柄の真贋」の他の記事を読む

「ほかに選択肢がなかった」。スタンダード市場に移行したある上場企業の幹部はそう明かす。

4月4日から東京証券取引所は「プライム」「スタンダード」「グロース」という3つの新市場区分に移行した。この企業はもともとジャスダックスタンダードに上場していた。規模も小さく、流通株式時価総額は数億円しかない。スタンダード市場の上場基準達成には相応の対策が必要だった。経営陣からは「これだけの労力を割いて上場している意味はあるのか」と、上場廃止の選択肢すら議題に挙がっていたという。

だが、「資金的な問題からMBO(経営陣による買収)での非公開化はできなかった」(幹部)。かといって「ファンドに売却しても転売されるだけでビジネスへの悪影響が懸念される」(同)。結果として、経過措置を適用しスタンダードに移行する道を選ぶしかなかったという。

このように消極的な理由から、スタンダード市場に移行した企業は少なくない。そもそもスタンダード市場の基準はプライムに比べてかなり緩く、流通株式時価総額の基準は10億円。プライム市場の10分の1でいいのだ。それでも、冒頭の企業のように基準を満たせないところが散見される。

基準未達が継続なら上場廃止

プライム市場で基準を下回った場合には、スタンダードやグロースといった下位市場への上場手続きを新たに進める選択肢がある。しかし、スタンダード市場で基準を下回り続ければ、行き着く先は上場廃止しかない。

今回の市場改革ではプライム企業に焦点が当たりがちだが、より大きなリスクを抱えているのは、スタンダード企業のほうなのだ。

そこで東洋経済では「独自集計であぶり出し「プライム市場」の落第企業」で行った流通株式時価総額の試算を、スタンダード市場においても実施した(時価総額は2021年12月1日~2022年2月28日までの平均値)。

すでに計画書を提出した企業と、いったんは基準を満たしつつも足元で下回った企業を合わせて、実に131社もの企業がスタンダードの基準である10億円を下回っている(一覧は次ページ)。

次ページ流通時価総額10億円を下回る131社の一覧
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