民主党政権の真実 塩田潮著
民主党迷走が鳩山・菅・小沢トロイカ体制の所産なのは疑問の余地がない。結党以来4年の「友好」期間を経て不倶戴天の様相を呈している現状には各人なりの事情があるにせよ、菅直人氏の性格と思考法に最大の理由があるらしい(と行間からは読み取れる)。さきがけ以前から20年以上も3氏への取材を重ねてきた著者ならではの、分厚い情報に裏打ちされた実態分析は読み応え十分だ。
小沢一郎氏の「目標」にもたっぷり言及がなされ、鳩山由紀夫氏も登場回数こそ多いものの、やはり菅氏に関してが最も興味を引く。前著『民主党政権の研究』を受け、今回は主役の感が強い菅氏の、特にエイズ訴訟で虚像が膨らんだ厚生相時代など検証の価値は大きい。数々のエピソードからそれぞれの人物像が浮かび上がるが、結局は同床異夢だった感が強い。支持率の乱高下などに国民自身が振り回されないためにも民主党政治の道筋を見つめ直すには格好の書。(純)
毎日新聞社 1680円
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