神と人種 アメリカ政治を動かすもの マーク・A・ノール著/赤木昭夫訳 ~宗教と政治の根深い関係を解明


 本書は「南北戦争」と「公民権運動」に焦点を当てて、宗教と政治の相互関係を分析したものである。奴隷制の是非は聖書解釈を通して議論された。南北戦争は、奴隷制の聖書解釈をめぐる“宗教戦争”であり、連邦政府と州政府の主権、すなわち大きな政府と小さな政府をめぐる“政治闘争”でもあった。

南北戦争で奴隷制は廃止されたが、人種問題は取り残された。その解決は1960年代の公民権運動まで待たなければならない。オバマ大統領は人種的和解を訴えた。だが、和解が本当に進んでいるとはいえない。黒人教会は本当の意味で和解の姿勢を示してさえいない。

オバマ大統領とアメリカ政治をめぐってさまざまな議論が行われているが、本書を読めば、その多くがいかに表層的なものかがわかる。ある程度、アメリカの政治や宗教の知識がないと内容を咀嚼(そしゃく)するのに苦労するかもしれないが、その苦労に見合う成果が期待できる本である。

Mark A. Noll
米ノートルダム大学教授。専攻はアメリカ宗教史。1946年生まれ。イリノイ州のホイートン・カレッジ、シカゴのトリニティ・エヴァンジェリカル・デイヴイニティ・スクールで学んだ後、ヴァンダービルト大学においてキリスト教史で博士号を取得。

岩波書店 3150円 254ページ

  

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