卸業界が激変、「コメ」首位が「青果」取り込む理由 M&A加速、株式上場を弾みに「売上高1兆円」へ
株式上場を見据える神明ホールディングス。成長ドライバーとして据えるのは祖業のコメ卸よりむしろ、青果の流通事業だ。
日本の食卓を支える農産物の流通業界が今、変革期に突入している。
コメ卸で国内首位の神明ホールディングス(HD)の藤尾益雄社長は東洋経済の取材に対し、「2023~2024年をメドに株式上場を検討している」との考えを明かした。同社は2030年3月期までに売上高を1兆円(2022年3月期の見込み値から3倍弱)に伸ばす目標を掲げる。
成長ドライバーとして据えるのは、意外にも青果の流通事業だ。株式上場で資金を得て青果卸のM&Aなどに投じ、青果とコメの両輪経営へと移行していくことを狙う。青果の卸売業界では目下、再編の機運が高まっており、神明HDがその「台風の目」となる可能性も高そうだ。
青果がコメの売り上げを超す
神明HDは兵庫県神戸市で1902年に創業。国内の主食用コメ流通量の1割弱を取り扱う最大手だ。数度の事業再編を経て、2018年から現在の純粋持株会社体制に移行した。株式の大半は藤尾益雄氏をはじめとした創業家一族が保有しているが、三菱商事も大株主として名を連ねる。
回転ずしチェーンの元気寿司や、雪国まいたけといった上場企業をグループ傘下に抱えつつも、経営の自由度を重視し、上場という選択肢は取らなかった。
一方、神明HDは事業転換への過渡期を迎えつつある。
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