企業で不正や不祥事が発生すると設置される第三者委員会。たいていは弁護士や会計士から構成されるが、委員会による調査を「ビジネス」とみなして展開するケースが散見されている。
データ偽装、横領や贈賄など社員や幹部による犯罪、パワハラ、そして不適切な会計処理――。
企業で不正や不祥事が発生すると、今や必ずと言っていいほど外部有識者からなる「第三者委員会」が設置される。委員に就任するのはたいてい弁護士や会計士で、彼らに会社側が支払う報酬は多くの場合、億円単位になる。平時に監査法人に支払っている年間の監査報酬の数倍から十数倍の金額だ。
第三者委員会については、日本弁護士連合会が委員の独立性確保など、そのあるべき姿をガイドラインとしてまとめ、2010年に公表している。だが、近時は同ガイドラインに準拠せず、「特別調査委員会」や「社外調査委員会」など「第三者」を名乗らないケースが増えている。このため、本記事では外部有識者を起用した調査委員会全体を、いわゆる「第三者委員会」として扱う。
2年間で53社が設置
第三者委員会が経営者には責任がないとする報告書を書いてくれれば、その報告書が「免罪符」となって、経営責任をとらずに済む。企業や経営者のそんな思惑に沿った報告書を書き、荒稼ぎする弁護士や会計士は、もはや「第三者委員会ビジネス」を展開しているといっていいかもしれない。
そうした負の側面も指摘されている第三者委員会だが、過去2年間に上場会社が設置した事例を細かく見ていくと、企業や経営陣と結託しているイメージとは異なる姿が浮かび上がる。
2020年1月から2021年12月までの2年間に第三者委員会の設置を公表した上場会社のうち、会計処理に関連した事例を抜き出して集計したところ、2020年は26社、2021年は29社で設置され、複数年にわたるものを加味すると、2年間で53社にのぼることがわかった(一覧はこちら)。
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