
ささき・とおる 2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)
かつて、「日本は世界で最も成功した社会主義国」といわれた。それはある時点まで本当だったのだろう。そして、こうした歴史的経緯のためか、日本は為替も国債も株式も市場に当局が深く介入する、官製相場の色合いが濃い。
しかし、過去20~30年、先進国の中で日本だけ成長率や物価上昇率が圧倒的に低く、過去10年程度で見ると、先進国の中では相対的に収入が低く、貧しい国になってきている。成功していたはずの日本の社会主義政策は失敗し始めている。原因はさまざまだろうが、官製相場もその1つだろう。
日本の当局は市場が急変動すると往々にして短期的かつ投機的取引のせいにして、当局の介入を正当化する。だが、市場は実体経済を映す鏡でしかない。実体経済が歪み始めるとそれに応じて投機的な取引が発生し、市場は大きく変動するのだ。投機的な取引は、その歪みを反映した実需の動きが後についてこなければ失敗に終わり、取引を手仕舞うだけだ。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら