1980年代初頭の2桁インフレを高金利政策で抑え込み、豪腕のインフレファイターとして語り継がれるボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長。その政策は米国の長期景気拡大の基盤となったが、短期的には厳しい景気後退という代償を余儀なくされた。高金利に伴うドル高はメキシコなど途上国の累積債務危機にもつながった。
そして今、80年代初頭以来の高インフレが米国を襲っている。2021年12月の米消費者物価指数は前年同期比7%と約40年ぶりの上昇率を記録。失業率は3.9%とほぼ完全雇用に達し、平均時給は同4.7%増、前月比では0.6%増と大幅な伸びを示している。
こうした中、FRBも急速にタカ派的(金融引き締めに前向き)な姿勢を強めている。年初来、金融引き締めが景気をオーバーキルする懸念も台頭して株価が急落。1月26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエルFRB議長が話し始めると、それまで大幅高で推移していた株価指数が急落に転じ、「パウエルショック」の声も上がった。
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