大手も現地でのECを強化するが、インバウンドの消失を補いきれていない。
2022年の正月明け早々、化粧品メーカーのアクシージア(東京・新宿区)で営業を統括する張輝常務は、上海事業の情報収集に追われていた。中国最大のEC(ネット通販)サイト「天猫(Tモール)」向けに商品を保管している現地の倉庫が1月4日、コロナ禍の影響で出荷停止になってしまったからだ。
「回復するまで待つべきか」。上海子会社の社長と協議を行った張常務は翌5日午後、天猫向けの広告予算を、販売機能を備えた動画プラットフォーム「抖音(ドウイン)」(中国本土版TikTok)に振り向けるよう指示した。
結果的に、天猫の倉庫の停止は9日まで続いた。その間の売り上げロスは、広告を重点的に投下したTikTokで一定程度補った。
広大な国土でサプライチェーンにおける不測事態が常日頃発生し、当局の規制もたびたび変更される中国。目まぐるしい情勢の変化に四苦八苦する日本企業も珍しくない。そうした中、アクシージアの段卓社長は「中国と国内のトップは毎週2〜3回テレビ会議を行い、対話アプリの微信(ウィーチャット)で24時間連絡を取り合っている。会議などで決めた戦略はすぐに実行している」と強調する。
21年に東証マザーズに上場したアクシージアは、日本製のスキンケア商品と美容サプリが主力だ。以前、同社の売上高の2割弱はインバウンドによるものだった。コロナ禍で中国本土のEC強化へと舵を切り、インバウンドの消失分を吸収するどころか、業績をさらに伸ばしている。
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