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習体制「歴史教育」で締め付け 国内統治には有効だが世界の信頼を得るには逆効果

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毛沢東、鄧小平に続き、習近平体制の強化に結び付く「歴史決議」が検討されている。

「烈士記念日」の9月30日、北京の天安門広場で式典が行われた(新華社/アフロ)

歴史学者といえば、日本では俗世から離れて書物と向き合う学究が想起される。だが中国では歴史学者こそ、生々しい政治の最前線に立たされ、政情次第で激しく浮き沈みする人々だ。

11月に開催される中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で、第3の「歴史決議」が採択され、「習近平時代」の到来が正式に宣言されるとの見方が強まっている。中国共産党総書記の習近平は、2022年秋に本来の総書記任期を全うするが、第3の「決議」が採択されれば続投への布石はさらに盤石化する。

第1の歴史決議は1945年、毛沢東が全国統一を目指して動き出す直前に、第2は81年、鄧小平が改革開放を本格化させる直前にそれぞれ採択された。決議によって党内で意思統一が図られ、最高指導者が強い指導力をもって新たな時期を乗り切る政治的基盤ができた。中国の内外政治の現状を踏まえれば、習には第3の決議を目指す十分な動機があるのだ。

もっとも、第1、第2の決議の影響は、いずれも党内にとどまっていた。だが今回の流れは、すでに広範な教育現場を巻き込みつつある。習は元来、中国共産党の歴史(党史)に強い関心を示していた。昨年9月22日には、教育・文化・衛生・体育分野の専門家代表との座談会で、党史、新中国史、改革開放史、社会主義発展史(まとめて「四史」)の教育を強化せよという指示を打ち出した。

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