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『ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!』 『政界再編 離合集散の30年から何を学ぶか』ほか

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音楽を例に語る「運が重要」 成功者は図に乗るべからず
評者/名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰

『ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!』アラン・B・クルーガー 著/望月 衛 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile]Alan B. Krueger 1960年生まれ。米コーネル大学卒業後、87年、ハーバード大学で経済学の学位を取得(Ph.D.)。米労働省チーフエコノミスト、米財務省次官補などを経て、92年、プリンストン大学教授。邦訳された著書に『テロの経済学』。2019年死去。

タイトルからキワモノと思われそうだが、著者はオバマ政権で経済諮問委員会委員長を務めた労働経済学者でプリンストン大学教授、本格的な経済書である。

需要と供給(しかし、それだけではない)、スーパースターの経済学、運の力、価格差別、知的所有権の役割などが、極めて興味深い事例とともに学べる。浮き沈みの激しいミュージシャンの生涯設計や不利な契約を結ばされることについての解説は興味深い。また、バンド内の所得配分は、企業の正しい給与システムについて示唆に富む。

1980年から進展した米国における所得格差拡大の説明としてスーパースター仮説がある。経済規模が大きくなると、他で代替できない技能を持った人々の所得は高くなり、そうでない人々の所得は上がらないという仮説だ。さらにスーパースター企業の隆盛もある。少数の企業が利益を総取りしてしまう。これら企業の給料は高いのだが、雇っている人は少数なので、マクロでの所得格差は拡大する。

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