自由主義陣営の存亡に関わる脅威の1つは、新興テクノロジーをめぐる足並みの乱れだ。デジタル分野で米欧のすれ違いが起きたために、自由主義陣営は今後何世代にもわたって私たちの生活、経済、安全保障を大きく規定することになる技術で、中国をはじめとする独裁国家に躍進を許した。ロシアのプーチン大統領が言っていることは100%正しい。「この(人工知能=AI)分野でリーダーとなる者が、世界の支配者となる」のだ。
しかし、私たちには巻き返しのチャンスが訪れている。バイデン米大統領が民主主義を国内外でテコ入れしようとしているからだ。米欧の指導層はこの好機を捉え、民主主義国によるハイテク同盟の構築に動かなくてはならない。デジタル技術開発競争に勝利し、グローバルなルールづくりを主導するための同盟だ。
バイデン氏の手には、その青写真がある。米国ではグーグルのシュミット元CEO(最高経営責任者)を委員長とする「AIに関する国家安全保障委員会(NSCAI)」が2018年後半以降、さまざまな勧告を行ってきた。「米国が抱える安全保障上のニーズに幅広く対処」するためだ。同委員会は先日、大統領と議会に最終報告書を提出した。欧州連合(EU)加盟国をはじめとする米国の同盟国も、この報告書に基づいて行動を起こすべきである。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら