「大衆の集客」に活路なし 三越伊勢丹は富裕層を重視 新社長は外商強化で地方店再生

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幅広く集客するより富裕層に軸足を置く。三越伊勢丹の戦略は明確だ。

2月に社長交代会見を行った杉江前社長(左)と新社長の細谷氏(写真:三越伊勢丹ホールディングス)

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「既存のビジネスモデルはもう市場に受け入れられていない」

百貨店業界首位の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が4月1日、経営トップを交代した。新社長は、子会社の岩田屋三越(福岡市)社長から昇格した細谷敏幸氏。2月末の会見で細谷氏は、百貨店が直面する経営環境の厳しさを冒頭のように率直に語った。

三越伊勢丹HDの2021年3月期業績は、売上高が前期比28.5%減の8000億円、最終損益が450億円の赤字になる見通しだ。売り上げがほぼ同規模のJ.フロント リテイリングの最終赤字予想は260億円。両社の差は売り上げに占める百貨店事業の比率にある。三越伊勢丹HDは9割と突出しており、百貨店事業の営業赤字は20年4〜12月期時点で219億円となっている。

だが、この苦境はコロナ禍だけが原因ではない。主力としてきた衣料品販売の不振や顧客の高齢化、EC(ネット通販)での出遅れなど、百貨店事業の構造的な問題に起因する部分が大きい。

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