背水の百貨店 閉店や売り場の縮小が続出

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コロナ禍で苦境が続く百貨店業界。事業モデルの変革なくして生き残りの道はもはやない。

写真:そごう徳島店が2020年8月に閉店。人口72万人の徳島県は「百貨店空白県」に

「衣料品は以前から苦しかったが、コロナでとどめを刺された」。百貨店大手のJ.フロント リテイリング傘下にある高知大丸(高知市)の営業担当者は、業況の急激な悪化を嘆く。

高知県唯一の百貨店である同店では2020年7~8月、婦人服と紳士服の合計31ブランドが一気に退店した。撤退分の売り場面積は計1200平方メートルで、同店の売り場全体の1割弱にも及ぶ。退店したのは、オンワードホールディングスやレナウン(20年5月に経営破綻)などアパレル大手が展開するブランドだ。

従来は退店があれば別のアパレルブランドで埋めてきた。だが、「新規出店できるほどの余力を持つブランドがもはやない」(高知大丸担当者)。リビング雑貨の売り場を拡充するなどして補うが、いまだ空きスペースを解消しきれていない。

アパレル大量退店に悲鳴

新型コロナウイルスの感染拡大が、苦境続きの百貨店の経営を大きく揺さぶっている。外出自粛や在宅勤務の普及などで主力の衣料品販売は極度の不振に陥り、百貨店からのアパレルメーカー撤退が急加速。とくに地方都市の百貨店での大量退店が深刻だ。

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