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「家庭用に懸けた戦略が業務用ビールの苦境を補う」 磯崎功典 キリンホールディングス 社長

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いそざき・よしのり 1953年生まれ。慶応大学経済学部卒業。77年キリンビール入社。サンミゲル社で取締役として経験を積み2010年キリンホールディングス常務取締役、12年キリンビール社長。15年から現職。(撮影:尾形文繁)
「一番搾り」や「本麒麟」などのブランドを持つ、国内酒類大手のキリンホールディングス(HD)。2020年は家庭用商品の販売数量を伸ばし、11年ぶりにビール系飲料シェア首位を奪還した。だが国内酒類、とくにビール類の消費量は減少の一途をたどる。国内でのビール戦略を中心に磯崎功典社長に聞いた。

販売数量シェアでビール類首位を奪取

前回の首位奪還は「のどごし」がヒットした2009年。ただ1年で陥落し、その後はアサヒグループHDの首位独走を許した。

──アサヒグループHDが販売数量を非開示にしたため推定値となりますが、昨年、ビール類シェアでトップになりました。

いってみれば非公式記録だが、そうみたいだ。ただ、ビール市場全体が縮小している中では、シェア争いに意味はない。「売れているビールを飲もう」という消費者も昔ほどにはいないし、投資家もシェアではなく利益を重視している。

販売数量の公表は統計という観点で必要なものだと思う。アサヒはいずれ公表してくれるのかな。でも、無駄な競争をあおるために販売数量の数字が使われるのなら、私は(非開示という)アサヒの考え方でいいと思う。

──無駄な競争というのは。

シェアを取るために多額の費用をかけて販促キャンペーンを過剰に行ったり、在庫を積み増したりすること。トップになれば社員のモチベーションが上がるのは当然だが、シェアを上げようと営業の人間はむきになってしまう。結果として消耗戦に陥る。

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