──2015年の社長交代の会見で鈴木修会長は、スズキの企業規模が「ワンマン(でできる範囲)を超えた」と発言しました。燃費計測方法の不正が起きたのもワンマン経営の限界ですか。
あのー、そうは思わないですね。燃費問題は、法律を守るという精神が欠けていたということ。企業は社会の公器ですから、社員一人ひとりが最低限、法律を守るのは当たり前。それができていなかった。これは独裁とは異質のことだと思うんですね。もっと社員が勉強しないといけなかった。
山本五十六海軍元帥の言葉に「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」というのがあるが、昔の軍隊の兵卒は、あえて失礼な言い方をすれば、あまり教育レベルが高くない人ですわな。だから、海軍兵学校や海軍大学校を出た人は、そういう部下を使ううえで気をつけてやれ、という意味だった。
それを間違えて、一流大学を出て、20年も30年も会社勤めをして専門的なことをやっている者に「おだてて褒めて、やってみせなけりゃ」、なんてしている。アホかいなと。
社員が新聞を読み雑誌を読み、一般の教養を高めれば、最低限の教養が身に付くはずだ。当然、順法精神もです。カリスマとか、独裁制を取っておったから発生したとかいうこととは別である。
人材教育、社員の教育ができていなかったということは反省するとしても、そんな、町の真ん中でションベンすれば軽犯罪法違反ということは、子どもでもわかる。
──燃費値には問題は出ませんでした。
テストはやったけれど、それが国のルールに従っていなかった。ただ、うそまでついて偽造しているということではなかった。表現は的確ではないけど、それらしいやり方をしていたから、燃費も問題なかったということでしょう。
──縦割り組織に問題があったのではないですか。
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