「私には40年の経験がある。社長よ、俺に勝て」 鈴木修会長インタビュー・前編(2016年10月8日号)

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2016年5月、スズキで燃費計測方法の不正が発覚。鈴木修会長は責任を取ってCEO(最高経営責任者)を辞した。ただ、息子である鈴木俊宏社長への権限委譲が進んだかというと疑問が残る。
環境規制の強化、自動運転──自動車産業を取り巻く事業環境は厳しくなる一方だ。小型車とインドで独自の地位を築き上げてきたスズキにも荒波は襲いかかる。カリスマからの真の継承は進んでいるのか。鈴木修会長を直撃した。
(本記事は『週刊東洋経済』(2016年10月8日号)の「スズキ おやじの引き際」に掲載したインタビューです)

 

──2015年の社長交代の会見で鈴木修会長は、スズキの企業規模が「ワンマン(でできる範囲)を超えた」と発言しました。燃費計測方法の不正が起きたのもワンマン経営の限界ですか。

あのー、そうは思わないですね。燃費問題は、法律を守るという精神が欠けていたということ。企業は社会の公器ですから、社員一人ひとりが最低限、法律を守るのは当たり前。それができていなかった。これは独裁とは異質のことだと思うんですね。もっと社員が勉強しないといけなかった。

山本五十六海軍元帥の言葉に「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」というのがあるが、昔の軍隊の兵卒は、あえて失礼な言い方をすれば、あまり教育レベルが高くない人ですわな。だから、海軍兵学校や海軍大学校を出た人は、そういう部下を使ううえで気をつけてやれ、という意味だった。

それを間違えて、一流大学を出て、20年も30年も会社勤めをして専門的なことをやっている者に「おだてて褒めて、やってみせなけりゃ」、なんてしている。アホかいなと。

社員が新聞を読み雑誌を読み、一般の教養を高めれば、最低限の教養が身に付くはずだ。当然、順法精神もです。カリスマとか、独裁制を取っておったから発生したとかいうこととは別である。

人材教育、社員の教育ができていなかったということは反省するとしても、そんな、町の真ん中でションベンすれば軽犯罪法違反ということは、子どもでもわかる。

──燃費値には問題は出ませんでした。

テストはやったけれど、それが国のルールに従っていなかった。ただ、うそまでついて偽造しているということではなかった。表現は的確ではないけど、それらしいやり方をしていたから、燃費も問題なかったということでしょう。

──縦割り組織に問題があったのではないですか。

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