今のカメラは「生き急いでいる」
――スマホの普及に加え、コロナ禍もあり、デジタルカメラの出荷台数が大幅に減っています。
確かにデジカメの出荷台数は減っている。が、カメラはなくならない。
スマートフォンの普及によって、いつでも、どこでも、誰でも、きれいな写真を撮影できるようになった。そして、誰でも写真を簡単に発信できるようになった。
今までの写真は、新聞や雑誌を通じて受け取るもの、共有するものだったが、それがインターネット上で誰でも他者と共有できるようになった。これは写真の歴史の中では革命的なことだ。
その一方、従来のカメラでないとできないこともある。例えば、ズーム機能の画質はスマートフォンよりもカメラのほうが圧倒的によい。今後、スマホは「入門機」、カメラは「ステップアップ機」という役割分担になっていくのではないか。
カメラ市場は縮小していると言われるが、日本がカメラ大国となった1980年代のカメラ生産台数は2000万台ほど。「一家に1台」から「一人に1台」に移行していく時代で、元の規模に戻っただけとも言える。カメラの考え方も当時のようにシンプルに考えてもいいのではないか。
――「シンプル」とはどういうことですか。
カメラはカメラであり、それ以上でもそれ以下でもない。カメラの役割は写真を撮影することで、カメラはそのための道具。スマホでも写真を撮れるが、カメラでしか提供できない撮影体験もある。
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