この秋、筆者らは東京大学にマーケットデザインセンターを設立した。経済学の知見を現実の制度設計に生かすことを目指す組織で、その重要なミッションの1つに本稿で取り上げる「保活」、すなわち子どもを保育園に入れるための活動の改善がある。
「保活」と聞いて、「そんなもの、自分には関係ない」と思う読者もいるだろう。保育園に通う年頃の子がいる家庭ばかりでもなかろう。だが、身近には子育て中の友人知人や同僚がいるかもしれないし、企業の管理職にとって、部下の子の保育園問題はもはや避けては通れないテーマだ。本当に「保活なんて自分には関係ない」と言い切れる人は、実は少ないのではないだろうか。
現在、11月。これは、多くの保活当事者、つまり保育園に子どもを預けたい家庭が、申込書類の用意・提出、園や関係各所とのやり取りに奔走している時期だ。人気のある認可保育園の枠は少ないので、親も必死だ。自治体に提出する申込書には、どの園に子どもを預けたいかの希望順位を書き込む。どれほど保育を必要としているかに関する質問票にも答える。自治体は、各家庭から集まった希望順位表と保育の必要度を基に、どの子がどの園に行くかを決める。
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