2020年のノーベル経済学賞受賞者が決まった。アメリカ・スタンフォード大学のオークション理論の専門家2人、ポール・ミルグロム氏とロバート・ウィルソン氏だ。
彼らは学術的な貢献にとどまらず、その知見を基に、アメリカでオークションの制度設計を行い、現実の社会にも貢献している。これはビジネスパーソンにとっても見逃せないテーマだ。
ノーベル経済学賞選考委員会の発表した文書で共著論文が取り上げられた東京大学の小島武仁教授とカリフォルニア大学バークレー校の鎌田雄一郎准教授に、ミルグロム、ウィルソン両氏の横顔(前編)とオークションの理論と実践(後編)について語ってもらった。
経済理論の世界の中心人物
──ミルグロム氏とウィルソン氏は、経済学の世界ではどんな存在なのですか。
鎌田:僕や小島さん世代からすると、とくにミルグロム氏は、ずっと経済理論の世界の中心にいる人というイメージですね。僕たちが共同研究している分野、マッチングやマーケティングデザインの分野ではまさに大御所で、今でも現役でバリバリ論文を書いています。
ウィルソン氏はミルグロム氏の先生で、10歳ほど年上。80代なんですが、今も名誉教授として教壇に立っているようです。
小島:ミルグロム氏は今回はオークションでノーベル経済学賞を受賞しましたが、受賞してもおかしくない年が過去に何度もあった。
例えば、2012年にマーケットデザインでアルヴィン・ロス氏とロイド・シャプレー氏(故人)が受賞したときには、当然ミルグロム氏の名前が加わってもおかしくなかった。2016年に契約理論の分野でオリバー・ハート氏とベント・ホルムストローム氏が受賞したときも同じ。
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