安倍長期政権の「光と影」 1強政権は何をもたらしたか

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「ポスト安倍」は、従来路線の継続を訴える菅義偉官房長官の就任が確実になっている。

政治ジャーナリスト:泉 宏

週刊東洋経済 2020年9/12号
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全国民がコロナ禍におびえる中、第1次も含めて8年8カ月を超える史上最長政権を率いた安倍晋三首相。突如退陣を表明したことで日本政治は重大な転期を迎えた。

持病の潰瘍性大腸炎悪化が途中退陣の理由だが、「1強」と呼ばれ続けた安倍政権は、コロナ対応の迷走を除けば、内政、外交両面で一定の成果を上げた。

9月中旬にも発足する見通しの新政権は、安倍政治の継承に軸足を置く可能性が高い。戦後最悪とされる経済の立て直しと、日本外交の基本となる日米、日中関係への対応が最重要課題となる。

コロナで吹き飛ぶ成果

歴史的評価の対象となるのは、2012年末の第2次安倍政権発足からの7年8カ月余の政権運営だ。過去に例のない国政選挙6連勝を背景とした官邸主導の政治手法が、経済や外交政策における安倍カラーを際立たせ、国会運営も含めての安倍1強体制が日本政治の新たなモデルをつくったのは間違いない。

再登板を果たした安倍首相が看板政策として打ち出したのは、「アベノミクス」という経済再生策だった。大胆な金融緩和と大規模な財政出動に、規制改革を軸とする成長戦略を加えて「3本の矢」と位置づけ、デフレ脱却による経済立て直しに邁進した。世界経済回復にも後押しされたこの経済政策は、円安による株価高騰により、賃金上昇と雇用拡大などの果実をもたらした。

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