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「クレムリン文書」が示すロシアの対日戦略(上) 平和条約は経済、文化など包括的な性格を持つべきと主張

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7月末、クレムリン(ロシア大統領府)筋から、対日戦略に関する文書を入手した。この情報源は、両国外務省ルートでの意思疎通が円滑に進んでいないときに機微に触れる情報を筆者に流してくる傾向がある。

まず、7月1日に行われたロシア憲法改正に関する国民投票で改正が承認され、領土割譲禁止条項が設けられた。このことが北方領土交渉に与える政治的意味を過小評価すべきでないと、クレムリン文書は指摘する。

〈ロシアと日本との関係は非常に予測が難しい状況になった。ロシア、特に極東では、ロシア憲法の改定によって日本との平和条約とクリル諸島に関する交渉に終止符が打たれたと広く理解されている。

投票前のキャンペーン中にも、プーチンや他の高官たちでさえ、このような見解に異議を唱えることはなく、その結果、日本との交渉ゲームは終わったとの強い認識が国民の間に生まれた〉

そもそもロシア憲法第80条第2項で、ロシア大統領は「ロシア連邦の主権、独立、国家的一体性」を擁護する義務が明記されている。ここには当然、ロシア領土の割譲を禁止することも含まれている。したがって、憲法に領土の割譲禁止が追加的に明記されても屋上屋を架しただけで、現状に変更はない。しかしクレムリン文書は、憲法改正をきっかけに7月24日、領土の割譲に向けた行為やその呼びかけを刑事罰の対象とする連邦法の改正法案が国家院(下院)で採択されたことを重視する。〈法改正は、4日に公布された改正憲法に「領土の割譲禁止」が明記されたのを受けて行われた。領土の割譲に向けた行為を、テロや人種間の憎悪の扇動などと同列に位置づける内容で明確な違法行為とした。/現行刑法では、こうした行為の呼びかけには最大で禁錮4年の刑が科される。さらに、議会には領土割譲に向けた具体的な行為に最大10年の禁錮刑を科すなどの刑法改正案も提出されており、秋にも審議される〉(7月25日付朝日新聞朝刊)。

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