2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立した。この4月から全面施行され、施設の一定の場所を除く屋内での喫煙が原則禁止となった。受動喫煙を減らし、国民の健康促進を図ることが目的だ。
法律中に「原則屋内での禁煙」とあるとおり、改正法の影響は喫煙者たる個人だけでなく、建物内に数多くの従業員を抱える企業にも及ぶ。企業は自社の従業員に向けた喫煙のあり方、禁煙への啓発をいま一度考え直さなければならない。健康経営の視点からも、自社の生産性を高めるアプローチの1つとして禁煙が注目されている。
健康面における禁煙のメリットは、すでに社会的に認知されている。しかしそれだけでは、個人の自由を理由に従業員も企業も禁煙促進には動かないかもしれない。
そこで本稿では、経済学的な見地から禁煙が従業員や企業にどのような影響を与えるのか、実証研究を交えて紹介したい。とくにビジネスパーソンが関心を持つであろう、企業の生産性と従業員の賃金の2つに焦点を当てよう。
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