シェアオフィスは「賃貸」か「利用」か 裁判所でも判断が二分
手元にウィーワークの契約書がある(上写真)。「メンバーシップ契約」と書かれた文書には、国内の某施設の個室を借りるうえでの契約条項が事細かに記載されている。だが、契約書の中には「賃貸」の文字が見当たらない。
通常、オフィスなどの不動産を借りる際は「賃貸借契約」を結ぶ。シェアオフィスも例外ではなく、個室を借りる場合には賃貸借契約を結ぶのが通例だ。ところが、ウィーワークが入居者との間で結んでいるのは「賃貸借契約」ではなく「利用契約」、言うなればスポーツジムへの入会と同様の位置づけだ。
本誌の取材によれば、ウィーワークを含む複数の事業者がシェアオフィス内の個室への入居を「利用(あるいは一時使用目的の建物賃貸借)契約」として扱っている。他方で、事業者によっては通例どおり「賃貸借契約」としている場合もある。同じシェアオフィスでも、なぜ契約形態が異なるのか。
事業者にとって利用契約の最大のメリットは、入居者が賃料(利用料)を滞納した際の対応にある。賃貸借契約の場合、1カ月や2カ月程度の滞納では立ち退かせることができない。立ち退きを求める訴訟を提起し、裁判所が明け渡しの判決を下す必要があり、時間も労力もかかる。ところが利用契約であれば、料金未納が発覚し次第、鍵を取り換えて室内の私物を一方的に撤去してしまっても問題ない。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら