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投資用マンションに2つの懸念 めぼしい中古物件が枯渇するおそれ

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居住用だけでなく、投資用マンションでも新築から中古へのシフトが起きている。好立地での新築向け用地仕入れが難しくなっていることに加え、物件価格が割安で新築よりも利回りが高いことも、中古人気を支える。

中古の投資用区分マンション販売で大手の日本財託では、「投資家からの購入希望が相次ぎ、物件によっては抽選になる」ほどだ。新築の投資用マンションを供給するプロパティエージェントは、昨年から買い取り再販事業を強化。自社物件を中心に、今期は150戸程度を取得し、再販する予定だ。

こうした活況の裏で、業者からは「買い取りに値する物件が減ってきた」といった声も聞かれる。参入業者が増えて、仕入れ競争が激化していることだけが理由ではないという。背景には投資用マンション特有の事情がある。

「中古市場に出回る物件が、サブリース付きばかりになってきた。本当は仕入れたくないが、目標達成のために仕入れざるをえない」。都内で中古の投資用マンションを販売する業者はそうぼやく。

サブリースとは「転貸」のことで、サブリース業者が例えば月8万円で部屋を借り上げ、別の個人に10万円で貸すという形だ。業者の手数料が介在するためオーナーが受け取る家賃は減る。だが、空室対策の手間が省けるため、契約を結ぶオーナーは少なくない。一方、中古業者からすると好ましからざる物件になる。オーナーが受け取る家賃が減ることで、売り出す際の利回りも低くなるからだ。また、いったんサブリース契約を結ぶと解約が難しく、販売業者からは「契約書どおりに解約を求めても手続きに応じてくれない」「違約金として賃料1年分を請求された」といった声が上がる。空室をつくらないことの副作用ともいえるが、「転貸先の属性によっては、収益性が毀損されることもある」(投資用マンション販売業者)という。

売りたくても売れない

今後顕在化しそうな懸念もある。物件購入に対する借入期間の長期化だ。これまでの不動産投資ローンは35年が最長だったが、昨年、オリックス銀行がワンルームマンションを対象に最長45年という超長期の商品を開発した。借入期間が10年延びる分、毎月の返済額を抑えられることから、サラリーマン層など新たに不動産投資に参入した投資家からの引き合いが強い。

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新築を販売する業者にもメリットがある。月々の返済額が減れば、家賃収入から返済額や必要経費を引いたキャッシュフローが黒字になりやすい。借入期間の長期化で、投資家の金利負担は増えるのだが、「収支が黒字」という点は業者のセールストークに使える。

投資家、業者、銀行と「三方よし」にも見えるが、45年ローンを利用した物件が増えると「この先、中古市場で買いにくくなるのでは」と、中古を扱う業者は気をもむ。35年ローンに比べて残債の減りが鈍いため、物件の売却価格が残債を下回る「残債割れ」の起こる可能性が高まるからだ。

物件売却だけでローンを完済できなければ、自己資金で補填する必要がある。その補填額が大きくて手当てできないと、物件を保有し続けるしかなくなる。こうした投資家の事情で、「売りたくても売れない物件」が増えれば、中古の販売業者にとっては仕入れ物件の減少へとつながりかねない。

アパートやシェアハウスをめぐる不祥事を尻目に、好調を維持してきた投資用マンション。だが、中古業者にとっては、「目の前に物件があるのに仕入れられない」という状況も起きうる。

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