10月開始は間に合わず、前途多難の楽天携帯事業 三木谷会長「予定どおり」を強調も本格展開は未定

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携帯キャリア業界の台風の目となるはずの楽天モバイルに誤算が生じている。

9月6日の会見に登壇した三木谷氏は基地局の整備が遅れていることを認めなかったが、「楽天はもともとの予算が少なくノウハウもないのに、地権者への折衝やコンサルを自分たちでやろうとしている」と語る工事会社関係者もいる(撮影:風間仁一朗)

楽天傘下の楽天モバイルは9月6日、今年10月の開始を予定していた自前の通信設備を使う携帯キャリア事業について、当面は利用者を5000人に絞った無料サービスにすると発表した。

5000人の対象者は東京23区、名古屋市、大阪市、神戸市に住む18歳以上で、通話やデータ通信は無制限となる。10月1〜7日の募集で選ばれた人は、同月11日以降から使えるようになる。通信品質等のアンケートに答えることが条件で、安定性に問題がないか確認してから本格的なサービスの受け付けを開始する。

限定的なサービス展開にとどまったことついて、楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日の会見で「予定どおり」であることを強調。そのうえで本格展開の時期は「1カ月後かもしれないし、年内いっぱいになるかもしれない」と述べた。

甘かった整備の見通し

今回スモールスタートにならざるをえなかった理由は、通信基地局の整備の遅れにある。携帯キャリア事業へ参入するに当たり、楽天モバイル(当時、楽天モバイルネットワーク)が今年2月末までに総務省へ提出した事業計画は、2019年度末までに都市部を中心に3432の基地局を整備するという内容だった。だが、総務省によると楽天がこれまでに整備した基地局は9月10日時点で656と計画の2割弱にとどまる。総務省は8月26日、楽天モバイルに対し今年3月と7月に続く異例の3回目の行政指導を行い、基地局の設置場所の確保に早急に取り組むことなどを求めた。

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