令和時代の最大の社会課題である人口減は、皇室の課題と二重写しになっている。

2019年4月から5月にかけての天皇退位と新天皇即位のプロセスは、見事なほど滑らかであった。もしこれが崩御と即位という近代天皇制の慣行に基づいたプロセスであれば、先の天皇への哀悼の念が深く漂い、その存在感が新天皇以上に際立ったのではないだろうか。ところが、今回は退位した天皇は健在で上皇となり、国民は安心して新天皇を迎える段取りになった。そのためか、即位後の諸行事を見ていても、かつての上皇の役割を新天皇が果たしていると、ごく自然に感じられたのである。
これを裏書きするのが、新天皇の即位の言葉が上皇の即位時をなぞる形をとり、時代を継承する意思を明確にしたことだ。現憲法を守りながら、その枠の中で国と国民統合の象徴としての役割を果たすという宣言は、現在の安定した天皇と政治との関係がそのまま継承されることを保証したものであった。それこそ国民の多くが求める天皇の姿であり、その後の各種世論調査でも、現在の天皇制を支持する声が全体の7割ほどと圧倒的である。
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