ロシアのプーチン大統領は独裁者で、専制的政治を行っているという見方は間違いだ。プーチン氏がしたくてもできないことが少なからずある。もっともロシアの場合は帝政時代、ソ連時代を通じてエリートと民衆(ナロード)が分離している。民意が反対していても、大統領はそれを無視してロシアの国益のために必要な政策を取ることができる。
むしろ、大統領の政策を制約するのは、権力基盤となっているいくつかのグループだ。このグループは外部からはほとんど見えない。FSB(連邦保安庁)、SVR(対外諜報庁)、内務省、軍など「力の省庁」出身者からなるシロビキ(直訳すると「力の人たち」)、石油ロビー、天然ガスロビー、ガスロビー、非鉄金属ロビー、漁業ロビーなど特定の天然資源と結び付いた勢力、モスクワ市、サンクトペテルブルク市、北コーカサス地方、極東地方など地域と結び付いたロビーがプーチン氏を支えている。いずれのロビーも、プーチン氏を「独裁者」のように見せることに自らのグループ的利益を見いだしている。
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