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直木賞作家、真藤順丈が語る「『宝島』で描きたかったこと」 「すべてが現在の沖縄に地続きでつながっている」

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戦後の沖縄と若者たちを描いた小説『宝島』。筆者が込めた思いとは?

沖縄・那覇市内の書店では、大きな陳列スペースが割かれている。写真はリブロリウボウブックセンター(琉球新報社)

米軍統治下の沖縄を舞台に若者たちの苦悩と成長を描き、今年1月に直木賞を受賞した小説『宝島』(真藤順丈著)が、沖縄でベストセラーになっている。

出版は昨年6月。沖縄県内での反応は当初薄かったが、受賞を機に多くのメディアで紹介されると、飛ぶように売れ始めた。ジュンク堂那覇店の森本浩平店長は、「一度に1000冊以上注文したのは初めて。村上春樹やハリー・ポッター以上の反響」だと驚く。受賞から2カ月以上を経た今も、同店では月200冊ペースで売れているという。

史実に記されない真実

「おれたちの島じゃ戦争は終わっとらん」。物語の中心人物の一人、オンちゃんは序盤、この小説の芯を貫くようなセリフを吐く。

「あの日、アメリカーがぞろぞろと乗り込んできて、あちこちに星条旗をおっ立てて、そのまま五年も十年も居座ってるやあらんね。おやじやおふくろの骨が埋まる土地を荒らして、ちゃっさん基地を建てくさって。だからわりを食った島民が報われるような、この島が負った重荷をチャラにできるような、そういうでっかい“戦果”をつかまなくちゃならん」

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