剽窃──。日常生活においてあまり使うことのない言葉ですが、『ブリタニカ国際大百科事典』で確認すれば「他人の著作から、部分的に文章、語句、筋、思想などを盗み、自作の中に自分のものとして用いること。他人の作品をそっくりそのまま自分のものと偽る盗用とは異なる」と説明されています。
「思想などを盗み」という表現がされているにもかかわらず「盗用とは異なる」という説明は、一見するとわかりにくいのですが、実はここに芸術におけるオリジナリティーの問題が提示されています。
芸術において、オリジナリティーが高く評価されることは言うまでもありません。ではオリジナリティーとは何なのかを定義してみろ、と言われれば非常に難しい。
これまでも多くの哲学者や美学者がオリジナリティーの定義と格闘しましたが、そのほとんどは無残な失敗に終わっています。
近年では2020年東京オリンピックのエンブレムデザインについてこの問題が浮上し、一時期、ホットな議論が繰り広げられましたが、決着などつくはずがありません。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら