20世紀半ば以降の経営学で提唱されてきた手法やコンセプトが、今や人をミスリーディングし、混乱の原因になりつつあります。
これは前回、アンディ・ウォーホルを取り上げた際にも指摘したことですが、モノが不足していた時代には、とにかく効率を高めて生産性を上げ、役に立つモノをつくり続ければ競争に勝つことができました。
しかし、すでにモノが過剰になった先進国の市場において、生産性だけを追い求め、役に立つモノをつくっても評価はされません。
世の中の状況が変われば、経営の定石も変わって当たり前なのですが、人間のマインドは非常に保守的なので、なかなかそれを認めようとしません。結果として、定石どおりにやっているにもかかわらずなぜかうまくいかない、という悲劇がそこかしこで発生しているのが現在の日本企業の状況です。
さて、日本の企業を混乱させている定石の1つに「カスタマーファースト=顧客第一主義」という考え方があります。ご存じのとおり、「顧客の欲求や要望を立脚点にしてビジネスを考えるべきだ」という思考・行動様式を指している言葉ですね。
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