人口減少や財政、原発など安倍政権が放置する構造問題について今こそ与野党は政策論争を行うべきだ。
通常国会の予算審議では、経済分野の統計のずさんさが最大の争点となった。事はかなり専門的なテーマであり、世論の関心も高まらなかったので、政府は野党の追及をかわして逃げ切った感がある。しかし、経済の実態を測定する物差し自体に歪みがあったという疑惑は続いている。
日本経済新聞の昨年11月13日朝刊に、「国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っている」という記事があった。今回問題になった賃金統計のずさんさについてはすでに日銀が疑義を呈していたのである。政治的圧力が働いたかどうかは知るすべもないが、安倍晋三政権の長期化の中で、政権が掲げる目標が達成されたことを示す数字を拾い集めるという「問題意識」が所管官庁にあったことは事実であろう。
アベノミクスが成果を上げているかどうかを国会で議論しても、水掛け論になる。むしろ野党は、短期的な政策の成否について議論するよりも、安倍政権が放置している長期的、構造的な問題について論争を提起し、自らの選択肢を示すべきである。
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