たなか・ひであき●1960年生まれ。85年に東京工業大学大学院修了後、大蔵省(現財務省)入省。予算、財政投融資、自由貿易交渉、中央省庁改革などに携わり、内閣府参事官などを経て、現明治大学公共政策大学院教授。著書に『日本の財政』、共著に『財政と民主主義』など。
人事握られ官邸に追従 政治的中立を提唱
評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
官僚の不祥事が止まらない。今度は統計不正問題だ。「経済一流、政治二流」と日本が評された1980年代ごろまでは、優秀な官僚が陰で采配していると言われたが、今や見る影もない。本書は、元財務官僚で政策過程を専門とする財政学者が、昨今の政と官の問題を客観的に分析した好著。
政治主導を目指した行政改革の弊害として、官僚不祥事が生じているという。制度変更から20年近くが経過、早期の見直しが不可欠と論じる。
かつては業界、業界を監督する官僚、業界から支援を受ける族議員の三者で政策が決まり、首相といえども介入はできなかった。高度成長期まで問題は目立たなかったが、80年代には環境変化に対応できなくなり、90年代以降、有権者の支持を受けた首相のリーダーシップで対応することを目的に、行政改革や政治制度改革を進めた。2014年の内閣人事局設置で、官邸が高級官僚の人事を掌握し、一連の改革は完了する。
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