「痴漢問題」は治療で撲滅できるか 責められるべきは被害者の自己責任ではなく加害者の行為

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多くの痴漢が発生する電車内。女性専用車両の設置など、対策が広がりつつある(ロイター/アフロ)

1月、「自分が『カワイイ』と思った短いスカートによって性犯罪を誘発してしまいます」と書かれたポスターが、インターネットで炎上した。スカートをはいた女子生徒のイラストとともに「痴漢に気をつけて!」とも書かれていた。ポスターは「カンコー」のブランド名で知られる学生服大手「菅公学生服」(岡山市)が、2012年に防犯啓発の一環として作成したもの。中学校、高校でも掲示していたようだ。

ここで読者の皆さんに問いたい。なぜこのポスターが問題視され炎上したのか、説明できるだろうか。

答えを述べる前に、この問題によく似た例を挙げたい。

ミニスカートをはいて出かけようとする娘に対して、母親が「そんな短いスカートをはいていたら、痴漢に遭うでしょう」と注意する光景だ。一般的な家庭でよく見られるこの光景もまた、炎上したポスターと同じ問題をはらんでいる。

注意をする母親に悪意はなく、娘を心配する気持ちだろう。しかし母の言葉は、もし娘が痴漢に遭っているなら二次加害にもなり、娘は自己責任を感じてしまう。実際に痴漢された娘に対して、「そんな短いスカートをはいていたから、痴漢に遭ったんでしょう」と声をかける母親もいるようだ。

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