「ちょっと早熟すぎる、と心配されたようです」
インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)創業者の鈴木幸一氏は、生まれながらの自由人だ。まず幼稚園で登園拒否し、通園したのはわずか2日間だけだった。
「朝送り出しても、すぐに遠い道を、1人で歩いて戻ってきてしまう。危ないし、親も無理に幼稚園に通わせるのを諦めたようです」。小中は地元横浜の公立学校にまじめに通学。しかし人付き合いは苦手で、“親友”はもっぱら蓄音機で聴く音楽と本。とくに4歳のときにSPレコードで聴いたシューベルトの即興曲がお気に入りに。「この子はちょっと早熟すぎる、と心配されたようです」。
自由人としての本性が本格的に花開いたのは、神奈川県立横浜緑ヶ丘高校時代だ。「朝、登校しようと家を出るのですが、足が上野に向かってしまう。横浜から上野まで、京浜東北線に乗って約1時間。音楽を聴いたり、美術館や博物館に入ったり、本あさりをしたり。そうやって時間を潰す毎日でした」。
本あさりの日々の中で運命の1冊に巡り合う。これが早稲田大学に進学するきっかけとなった。
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