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11年連続でミシュラン2つ星、利益を捨てた非常識経営 初音鮨の中治勝は何がスゴイのか?
夫婦で営む下町のすし店には世界中から予約が殺到する。「今日こそ最後。最上のすし舞台を」の信条で、店の信用を築き上げてきた。(写真:飯塚昌太)
JR東京駅から京浜東北線で横浜方面に20分ほどの東京・大田区の蒲田。古くからの町工場や商店が多く、庶民的なにぎわいを見せる街だ。平成になって工場の数は減ったが、都心に近いこともあってマンションが増え、新しい住民が増加している。それでも、都心の華やかさとは異なる独特の雰囲気をたたえる街だ。
そんな街に食事だけで「おまかせ、1人4万5000円」のすし屋があると聞けば、多くの人が驚くに違いない。質の高い食材が高騰し、3万円を超えるすし屋は珍しくない。銀座の「すきやばし次郎」は4万2000円だ。蒲田という土地柄を考えれば、何かの冗談だと思う人もいるだろう。
しかしこの店に通うのは、隠れ家的名店を好む物好きな食通たちばかりではなかった。いや、むしろ料理のプロたちのほうが熱心に通う店だった。過去形で記述しているのは、誰もがノーマークだったこの店が、SNS(交流サイト)を通じて知れ渡るようになり、1年先の予約も、あっという間に埋まる店になってしまったからだ。
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