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チューハイ急拡大のジレンマ 酒類

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スーパーには多くのチューハイが並ぶ

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ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)市場は、2018年も冷え込みが続いた。18年上期の大手5社の課税出荷数量は、前年同期比4%減の1億8000万ケース程度で着地。下期の挽回も難しい情勢だ。17年6月から始まった酒類の安売り規制により、小売店の店頭価格が上昇した影響が大きい。

一方、同じ酒類でも市場拡大中なのが、カクテルやハイボールを含むチューハイだ。ビール類市場からの消費者の流入が続き、小売市場規模はこの5年で4割以上伸び、3200億円を突破した。

特にアルコール度数が7度以上の“高アル”チューハイが市場の成長を牽引。業界関係者は「手軽に安く酔える点が受けている」と口をそろえる。

18年5月から清涼飲料メーカー最大手の日本コカ・コーラもチューハイの試験販売を開始した。チューハイは製造工程に醸造や蒸留が必要なく参入障壁が低い。プレーヤーの増加も市場拡大を後押ししている。

19年以降も、チューハイ市場の拡大は続くだろう。26年にかけ段階的に行われる酒税改定により、価格帯が近く競合するビール類の新ジャンルにチューハイ以上の税が課されるからだ。

ビール類市場が縮小していく中でメーカーにとって救世主のようにも見えるチューハイ。だが、メーカーには市場の拡大を、もろ手を挙げて歓迎できない事情がある。

チューハイは、実はビール類に比べて利益率が低い商品。ビール類からの需要のシフトが進めば進むほど、採算が悪化していく構造だからだ。

低収益の要因の一つは、プレーヤーの多さによる激しい価格競争だ。定価販売が多いコンビニでは350ミリリットル缶1本140円前後の製品でも、スーパーでは100円程度まで価格が下がる。特売では100円を切ることもざらだ。

競合メーカー品に加えて、1本100円をつねに下回るような小売企業のプライベートブランドとも競争せざるをえず、「店頭で安値を維持したり陳列棚を確保したりするための販売奨励金が特にかさむ」(大手酒類メーカー首脳)。

また、製造原価の高さもメーカーを悩ませる。チューハイには、他社と差別化するためにさまざまな種類の果汁が使われる。原料が麦芽やホップに限られるビールに比べて調達で規模のメリットが働きづらい。中にはアサヒビールの一部製品のように、収穫後まもない果実を使っているものもあり、差別化のためのコスト増に拍車がかかっている。

物流面も課題だ。ビール類の場合は輸送効率を考慮して全国に偏りなく工場が配置されているのに対して、チューハイを製造できる工場は、メーカーにもよるがその一部。輸送距離や輸送トラックの台数が増え、物流費もかさみやすい。

ただ、市場が急成長を続けている以上、メーカーも指をくわえて見ているだけではない。製造ライン新設による製造工場の分散や果汁が少ない製品への集中投資を図る動きもある。19年以降は、チューハイで儲かる体制の構築が各社にとって最大の課題となる。

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