長引く停滞を打破し、B to Bに舵を切って復調した電機大手。それを尻目にB to Cの家電市場で存在感を示すのが、手頃価格の新興メーカーだ。その代表格がアイリスオーヤマ。布団乾燥機など中小型家電でヒットを飛ばし、2018年11月にテレビを投入、AV機器市場に参入した。会長にポスト平成の生存戦略を聞いた。
──AV機器市場に参入しました。
わが社はもともと、ホームセンター向けに園芸用品やペット用品を手掛けていたが、09年に本格的に家電市場に参入した。今では家電事業が、わが社の成長分野だ。
これまで掃除機や調理家電など中小型家電が中心だったが、今後はAV機器にも力を入れる。まず投入したのがテレビだ。11月発売のテレビは、ユーザーに「なるほど」と思ってもらえる独自機能が十分でなかったが、19年にはそうした機能を含むテレビを投入する。
やはりAV機器は家電の本流だ。中でもテレビは店頭での(顧客を吸引する)マグネット効果が大きい。大手メーカーは相次ぎ撤退したが、それはグローバルな価格競争で中国勢などに勝てなかったから。実際、既存の日系メーカーのビジネスモデルでは儲からないだろう。ただ、われわれはプラスチックの成形が祖業で、あらゆる製品を垂直統合で内製してきた。家電開発のため大阪にR&D(研究開発)拠点を設け、大手のリストラ退職者の受け皿にもなってきた(18年に東京でも拠点新設)。アイリス流でやれば、従来価格の2分の1でも十分採算が取れる。
テレビ以外のAV機器の投入はまだわからないが、決めればスピーディに製品を投入する。また布団乾燥機など、既存家電のナンバーワンシェア製品は今後、米国など海外での現地生産・販売を進めていく。
──自社の強みをどうとらえるか。
わが社はこれまでも園芸用品などの分野で、ユーザー視点の製品開発を重視するユーザーイン、市場創造型の企業だった。そのベースは家電開発にも当てはまる。
日本の家電産業はかつて輸出を支える基幹産業だったが、それは欧米製品をキャッチアップする経営がうまくいったため。そのベースはプロダクトアウトの発想だ。しかし量販店の規模が大きくなり、マーケットインの発想が求められると、それではうまくいかない。
わが社は変化を先取りしているといわれるが、違う。変化を感じるタイミングではなく、商品投入の決断のスピードが早いだけだ。
──今後、家電市場ではIoT製品の普及が見込まれます。
アマゾンやグーグルがライバルになるといわれるが、彼らはメーカーではない。わが社はすでに彼らのAIスピーカー対応の照明を生産・発売しており、そうした連携は今後もさらに広がるはずだ。
家電の需要はもっと増えていくだろう。これまでの家電は店頭にないと売れなかったが、今やネット通販の台頭で消費者の選択肢が広がっているからだ。家電市場には参入してまだ5年だが、既存の大手メーカーと伍するブランドを作ることが、ポスト平成の課題だ。
(聞き手・本誌:許斐健太)






















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